フランスのワインメディアサイト「TOAST」にて弊社取り扱いの生産者「シャスネ・ダルス」のワインに関する記事が掲載されましたのでご紹介いたします。


ワイナリーの素晴らしい景色とともに生産者たちの熱き想いが綴られており、とても魅力的な内容となっております。

ぜひ、最後までお楽しみください。

CHASSENAY D’ARCE, THE CHAMPAGNE WITH 140 FACES


【以下、全文和訳】

シャスネ・ダルス、140の顔を持つシャンパーニュ

シャスネダルス_ワイナリー

シャンパーニュ地方南端のヴァレ・ダルスには、60年以上にもわたり、輝く宝石のようなシャンパーニュづくりに専心し、ノウハウやブドウ品種を共同で守り続けてきた献身的な人々の共同体が隠れています。

ここでは、140もの家族が協力してシャンパーニュづくりに携わっており、類い稀なテロワールという宝の価値を高めるために懸命に努力する人々のネットワークを形成しています。

文:レオ・ブルダン、写真:ステファン・ラマエル

生産、生産技術を共有し、共同で最高品質のシャンパーニュづくりを行う

シャスネダルス_ワイナリー

シャンパーニュ:原石のダイヤモンド。ランスからトロワに及ぶフランスで最も有名なアペラシオンであるシャンパーニュ地方は、ワインメーカー達が個々のスタイルを培い、テロワールの特徴を独自の方法で引き出す懸命の努力によって名声を得てきました。

シャンパーニュ地方コート・デ・バール地区の南端に位置するシャスネ・ダルスの生産者達は、1950年代半ばに個々のスタイルを共に調和させて協同組合とした最初の生産者達のひとつでした。

ヴァレ・ダルスの生産者達が収穫を共同で管理し、生産技術を共有し、最高品質のシャンパーニュをつくるために協力し始めてからもう70年近くになります。

シャスネ・ダルスのシャンパーニュは、このテロワールと140もの生産者達の真の表現です。「多彩なスタイルとフレッシュさ、滑らかな口当たりの非常に心地よい個性が愛好家達を惹きつけている」と、2013年に世界最高のソムリエの選ばれたパオロ・バッソに評されています。

シャスネ・ダルス_ブドウ

ヴァレリー・フリソン

~意思を継ぐ生産者~

「今日でも、
何か意味のあるものをつくりたいなら、
人々を結びつける必要があります。」

シャスネ・ダルス_ヴァレリーフリソン

9月の朝、ヴィル=シュル=アルスにあるヴァレリー・フリスンのブドウ畑は穏やかな天気で、空にはわずかに靄がかかっていました。ブドウを収穫する一日の始めには最適な気象条件です。コタンヌの斜面では、ヴァレリーの二人の息子、バティストとトマがピノ・ノワールの畑の世話で忙しく働いています。二人は、収穫チームや友人達とともに、ブドウが完全に熟しているかどうかを確認し、注意深く房を切り取り、畝の端毎に置いてある木箱に収穫したブドウを集めます。木箱は紫がかった黒色を反射してきらきらと輝く美しい丸い果実で溢れています。

シャスネダルス_収穫

フリソン家にとってシャンパーニュは家業です。ヴァレリーの祖父アンリ・モーブリーは、1956年にシャスネ・ダルスの協同組合を設立したブドウ農家の一人でした。目的は、生産技術を共有し、共同で収穫を行うことであり、これにより、苦労して栽培したブドウで着実に利益を得るようにすることでした。この共同事業はコート・デ・バールでは初の試みでした。「今日でも、何か意味のあるものをつくりたいなら、人々を結び付ける必要があります」と、1996年以来ずっとこのチームスピリットを受け継ぎ、現在では彼の6つのブドウ畑のすべてを組織的に管理しているワインメーカーのヴァレリーは言います。

「私たちは、自分たちが行う投資やブドウの品質などを管理し、コミュニケーションチャネルをオープンにしておきます。これがすべての人に利益をもたらします。」 その午後遅く、ヴァレリーの義理の兄弟(ワインメーカーであり、シャスネ・ダルスのメンバーでもある)は、トラクターで収穫したブドウの木箱をすべて、数マイル先にあるワイナリーの巨大な圧搾機に運びます。この圧搾機は協同組合のすべてのメンバーが使用できるようになっています。ヴァレリーの収穫の一部は、区画からの収穫として、また、ノン・ヴィンテージのキュヴェ用に使用されます。残りは、今年初めて世に出る、シャスネ・ダルスの100%オーガニックのブレンドに使われます。

ニコラ・カド

~ピノ・ブランの守護者~

「シャルドネよりも少しだけ力強くて
ワインに幅と質感をもたらしてくれます。」

シャスネダルス_ニコラ・カド

トロワの南約30キロメートルにあるウルス川(Ource river)は、オーブの村を流れ、コート・デ・バールのブドウ畑をいくつか通り抜けます。セーヌ川の小さな支流の上流に位置する大きな丘の中腹にあるロシュ・シュル・オウルス(Loches-sur-Ource)では、ニコラ・カドの家族が3世代にわたりブドウ畑の世話をしてきました。畑は15ヘクタールで、ピノ・ノワールとシャルドネが植えられていますが、このうち、ひとつの畑だけには、シャンパーニュ地方ではもうほとんど姿を消してしまった、珍しいブドウ品種であるピノ・ブランが植えられています。

シャスネ・ダルス_シャルドネ

「ピノ・ブランは繊細なブドウです。多くの実をつけ、熟すのはかなり遅くなります」と、ニコラの父、ジャン=ルイ=カドは言います。 「シャンパーニュ地方からは1960年代に消えてしまい、もう植えることはできませんでした。でも、少しだけでも生産を維持したかったのです。」ピノ・ノワールやシャルドネなどが人気となり、これらは育成もピノ・ブランほど難しくはなかったため、ピノ・ブランは長い間顧みられませんでした。しかし、ピノ・ブランは、ピノ・グリ、アルバンヌ、プティ・メリエなどの他の希少品種とともにアペラシオン・シャンパーニュの正式なブドウ品種として復活しました。

そのアロマとフレーバーの特徴のため、ますます多くのワインメーカー達がピノ・ブランを好むようになっています。「ピノ・ブランはシャルドネよりも少しだけ力強くて、ワインに幅と質感をもたらしてくれます」とニコラ・カドは、自分のブドウを一粒、口に近づけながら言います。 「香りはとてもフローラルで、桃の香りがあります。」

シャスネダルス_ブライス・ベカール

シャスネ・ダルスでは、カドが収穫したブドウの一部が2009年ヴィンテージの「コンフィデンス・ロゼ ブリュット」のブレンドに使われました。ですが、単一品種のブドウでつくるシャンパーニュの愛好家なら、特定の畑のピノ・ブラン100%の「エクストラ ブリュット2008ヴィンテージ」を飲んでみれば、この希少なブドウ品種の際立った個性を最も良く理解できることでしょう。 「このシャンパーニュはエレガントさと複雑さの両方を兼ね備えています」と、シャスネ・ダルスの醸造責任者のブライス・ベカールは言います。 「白い花の新鮮な香りがあり、口中では信じられないほど表情豊かで、最後に微かにアニスと蜂蜜が出てきます。」

サブリーヌ・ダ・ペズ

地上の管理者~

「持続可能な農業へ向けての
満足と大きな一歩への巨大な源です。」

シャスネダルス_サブリーヌ・ダ・ペズ

サブリーヌ・ダ・ペズは「今年の天候は大変良好でした。雨が少なかったため、ウドンコ病はあまりありませんでした」と、ブドウの葉に付いてブドウを腐らせる微小な寄生虫について説明します。彼女は、シャスネ・ダルスのブドウ畑のコンサルタントの彼女は、ブドウの生育期には毎日、天気をチェックし、協同組合員すべての区画を詳細に見て回り、ブドウ樹の病害を予防します。

シャスネダルス_サブリーヌ・ダ・ペズ

午後、サブリーヌはヴィル・シュル・アルスを見下ろす丘のシェルヴェ台地にいます。剪定鋏、携帯電話、ノートパソコンを持ち、シャルドネのブドウ樹の列の間に姿を消すと、ブドウを注意深く検査します。彼女は「葉をチェックし、ブドウの3つの主な病気のベト病、ウドンコ病、ボトリティスが無いことを確認します」と説明しながら、ブドウ畑の所有者へテキストメッセージを送ります。 「房もよく調べて、ブドウに付く蛾の小さな幼虫がブドウの内部に入り込んでいないかを調べます。幼虫は中に入り込んでブドウを腐らせるのです。」

注意深い監視のおかげで、ブドウ畑を世話する上での問題には、より効果的に対処することが出来、ブドウ農家は植物衛生製品の使用を減らせるようになります。 「昔のやり方に逆らうこともあります。でも、生産者が私を信頼してくれて変化を目にするようになると、満足のいくものになり、持続可能な農業を達成するための大きな一歩となります。」

ブリス・ベカール

オーケストラの指揮者~

「私たちが本当にやりたいのは、
ヴァレ・ダルスのテロワールを確実に表現できるようにすることです。」

シャスネダルス_ブリス・ベカール

ブリス・ベカールは、巨大なステンレスタンクの蛇口からサンプルを採取しながら「シャンパーニュでも、他の産地と同じように素晴らしいワインをつくるためには優れたブドウと優れたワインづくりの技術が必要です」と言います。ブリスは、2003年にシャスネ・ダルスのエノロジスト(ワイン醸造技術管理士)に任命されて以来、毎年、醸造技術の専門知識を活かして、地元の協同組合の醸造家達が望みうる最良のワインをつくれるようにしています。

ブリスは、ワイン醸造の全プロセスに責任を持っており、時折、オーケストラの指揮者のように醸造に介入します。収穫の直前には栽培家と常に連絡を取り、ブドウの熟度を観察し、収穫開始に最適な時期を決定します。ブドウの木箱を運ぶトラクターが協同組合に到着すると、ブドウの圧搾から果汁が透明なワインに変わるまでの醸造プロセスを管理し、導きます。 彼はまた、異なるブドウ品種、区画、リザーブワインのブレンド、それらを集めて新しいキュヴェをつくるという極めて重要なプロセスも監督しています。

「毎年、何も描いていない真っ白なキャンバスから始めるのです。だから私の仕事はとても面白いのです」とシャスネ・ダルスのスタイルを背後で支えているエノロジストは熱っぽく語ります。 「私たちが目指しているのは、私たちのブドウの80%が育つヴァレ・ダルスのテロワール、粘土質と石灰岩質の土壌の特徴をしっかりと引き出すことです。」 テロワールは、シャンパーニュづくりにフィネス、個性、緊張感を加えてくれます。これはシャスネ・ダルスをシャンパーニュ地方の中でも最も繊細かつ他には無いシャンパーニュにしてくれる大変特別なものなのです。

木下隆志

完璧なペアリング

「私はこのキュヴェのミネラル感と
ヨードのアロマが本当に好きなのです」

シャスネダルス_木下シェフ

木下隆志はシャンパーニュと恋に落ちた東京出身の日本人シェフで、2015年以来、コート・デ・バールからかなり南に離れたホテル、シャトー・ド・クルバンで厨房を率いており、地元の美食シーンに心に残る感銘を残しています。ミシュランガイド2018年版で一つ星を獲得した精度の高い料理は、日本の伝統的な調理技術と同様、周囲のテロワールの多様性と豊かさから多くの魅力を引き出しています。

シャスネダルス_料理

シェフ木下は、仕事の開始前にはいつもの決まり事を注意深く繰り返します。 エプロンを着け、和包丁一式を木箱から取り出し、セレモニーを行うように料理に使う材料を全て並べます。2017年にゴーミヨガイドの若手の最優秀才能賞の受賞者に選ばれた木下は、今宵は素晴らしい手長エビとシャンパーニュの畑で獲れた野菜とが出会う料理を創ります。 シャティヨン地方で栽培された有機キノアをパン粉として使い、手長エビをカリカリの皮でコーティングし、スナップエンドウと菊の花で酸味を僅かに加えます。 彼が使う素材はすべて、シャンパーニュ地方最高の支配者であるブドウ、シャルドネ、のフレッシュさを反映しています。 最後に、椎茸、オレンジ色のベビーキャロット、手長エビのジュ、そして、驚くべきエンドウ豆のアンフュージョンで絶品の料理を完成させます。

シャスネダルス_木下シェフ

木下は皿の上での味の調和の創造を追い求めています。食材にはそれぞれの役割があります。唇に触れては弾ける数百万のシャンパーニュの泡のように、お料理は口中での歓喜の爆発なのです。 グラスの中のシャスネ・ダルスのシグネチャーブレンドである「キュヴェ プルミエール ブリュット」(エールフランス航空の機内シャンパーニュとなっています)は、ピノ・ノワール60%とシャルドネ40%のブレンドです。 口当たりは爽やかで、味覚を元気づけてくれます。 「このシャンパーニュのミネラル感とヨードのアロマが本当に好きです。シーフードにぴったりのシャンパーニュです。ブリュットのドザージュは微かな甘みを感じさせますが、これは私には大変重要です。なぜなら日本料理では砂糖を多く使用するからです。これは天の采配ともいえるのではないでしょうか?」と木下は説明します。

シャスネダルス_ボトル